安静時に手の震えが出てしまっている方、静止膜電位が上がっている?
私たちのような手技療法家は病気について何かをする、ということは基本的にはありません。
病気があればまずは病院へかかってもらい、そこで治療を受けるのが最優先になります。
だから、病気についての知識が必要です。
知識が無ければ、病院で診断を受けるべきかそうでないのか、という判断もすることが出来ません。
知人からの紹介で「手の違和感」にお困りの方が来られました。
検査をすると非常にマズそうな所見が現れていました。
本人の意図に反して、手が勝手に震えてしまっています。
安静時の震えで真っ先に思いつく病気は「パーキンソン病」です。
他には低血糖でも震えが出ます。
幸いこの方は、会話もスムースに出来て、歩行のバランスや方向転換などでももたつくことがありませんでした。
なぜ手が震えるのか?
静止膜電位が閾値に近づいている、と解釈しました。
専門的になりますが、細胞の中と外にはカリウムイオンとナトリウムイオンが分配されています。
それによって、「静止膜電位」というものが保たれます。
そして、イオンを細胞の中と外に良い感じで分配するためには、ナトリウム・カリウムポンプの働きが必要です。
もしかしたら、このポンプが適切に働いていないかもしれない、と判断しました。
ポンプが働かない
→ナトリウムとカリウムを細胞の中と外にしっかり分配出来ない
→静止膜電位(-65mv)を維持できない
→閾値に近づいてしまう
これらを考慮してプログラムを立てて実施しました。
再検査をすると震えの症状は軽減し明らかに変化がありました。
2回目:
症状が戻っていました。
これまでの経験上、このようなケースは普段の生活から意識してもらう必要があることを知っていたので、納得してもらうまでしっかりと説明。
3回目:
手の震えは無くなっておりホッとされていました(私も)。
この治療が最善だったかどうかはわかりませんが、良い結果に繋がりました。
細胞や静止膜電位、などは養成校で習った後には臨床で意識することはまずありません。
ですが、基本を押さえておくと言うのはとても大切なことだと再認識しました。
お読みくださりありがとうございました。
理学療法士の整体院 PHYSICAL CARE ROOM T 院長 田邉謙
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